実際に実務をしていて感じるのは、「転居と転出」を同じ意味で使っている方が多いなということです。
転居と転出は引っ越しに関係する用語であることは間違いありませんが、正確には違いがあります。
関係する手続きについても転居と転出では違います。
ここでは、転居と転出の違いに触れながら、転居の手続きを丁寧にお伝えしていきます。
転居と転出の意味の違い
ポイントとなるのは、「市区町村をまたぐ引っ越し」なのか「市区町村内での引っ越し」なのかの違いです。
そして、転居が事後報告の届けなのに対して、転出は予定状態を届け出るのが原則であることです。
これは、管轄する市区町村が変わる可能性があるわけですから、手続きが違ってくることは想像できると思います。
転出・転入については「転出届の書き方や必要書類を解説」や「転入手続きを丁寧に解説」を参照してください。
転居 | 転出 | |
---|---|---|
意味の違い | 同一市町村内の異動 | 市町村をまたぐ異動 |
住所変更手続き | 転居届 | 転出届 (別途転入届が必要) |
手続き方法 | 窓口 | 窓口のほか郵送でも可 |
手続き場所 | 住民票のある市町村役場 | 住民票のある市町村役場 (別途引っ越し先市町村役場) |
関連する手続き | 少ない | 多い |
住民票を変更するための転居手続き
届出場所 | 住所地の市区町村役場窓口 |
手続き可能時間 | 窓口開庁時間 |
郵送手続き | 不可 |
届出者 | 世帯員または代理人 |
届出期限 | 転居日から14日以内 |
手数料 | 不要 |
所要時間 | 15分程度(混雑による待ち時間を除く) |
根拠法令 | 住基法第23条 |

転居届に必要な持ち物
- 届出人の本人確認書類
- 届出人の印鑑
- 転居対象者全員の通知カードまたは個人番号カード
- 既存の世帯に入られる場合は世帯主の同意書
- (該当者のみ)転居対象者全員の国民健康保険被保険者証
- (該当者のみ)転居対象者全員の後期高齢者医療制度被保険者証
- 代理人の運転免許証などの本人確認書類
- 代理人の印鑑
- 委任状
- 転居対象者全員の通知カードまたは個人番号カード
- 既存の世帯に入られる場合は世帯主の同意書
- (該当者のみ)転居対象者全員の国民健康保険被保険者証
- (該当者のみ)転居対象者全員の後期高齢者医療制度被保険者証
届出事項
転居時に必要な情報
- 氏名
- 住所
- 転居をした年月日
- 従前の住所
- 世帯主またはその続柄
ここからは転居手続きで注意してほしい点についてひとつづつ見ていきましょう。
転居後14日以内に届け出なければなりません
転居してから14日以内に届け出るよう法律で決められています。
この転居してからという考え方ですが、例えば新築の家を引き渡された日がこれに該当すると考える人がいますが、そうではありません。
新たな住所で生活を始めた日のことです。
この転居した年月日は自己申告であり、その日を証明するものを添付する必要はありません。
実務上は、14日を過ぎた理由を書面に記載してもらい、家庭裁判所へ送付したあと判断がなされます。
転居前後の世帯主を決めておく
転居したあと、同じ人が世帯主になるとは限りません。
転居先にすでに存在する世帯に入る場合には、世帯主の同意が必要になります。
他にも、世帯主を含む世帯の一部だけが転居する場合、残された世帯のうち誰が世帯主になるかを決めておく必要があります。
届出は世帯員または代理人
勘違いされる方が多いのが、「家族」と「世帯」は同じではないということです。
わかりやすいケースで言えば、2世帯住宅でおじいちゃんおばあちゃんの夫婦と、息子夫婦と孫が一緒に住んでいることがあると思います。
ひとつの世帯となっていれば、おじいちゃんが息子家族の転居などの届出はできますし、住民票を発行することもできます。
しかし、ひとつ屋根の下に住んでいても世帯がわかれている場合には、転居の届けも住民票の取得も委任状なしではできません。
マイナンバー関連の住所変更手続き
転居によってマイナンバーが変わるものではありません。
あくまでもお持ちのカードに対しての手続きが必要になるだけです。
転居により住所に変更があった場合は、14日以内にカードに必要な手続きをしなければなりません。
転居届出時にカードを持参するのを忘れた場合は、後日でも良いので14日以内に同じ窓口で手続きしてください。(番号法第7条第4項、5項、第17条第4項)
通知カードをお持ちの方
個人番号カードをお持ちでない場合は、この通知カードをお持ちのはずです。
転居をしたすべての人の通知カードも含めて窓口へ持参してください。
通知カードの裏面に、新しい住所を記載してもらいましょう。
マイナンバーカードをお持ちの方
個人番号カード(マイナンバーカード)を申請して作成した写真付きのカードのことです。
転居をしたすべての人の通知カードも含めて窓口へ持参してください。
個人番号カードの表面に、新しい住所を記載してもらいましょう。
さらに、ICチップに格納されている券面事項の更新が必要になります。
更新には暗証番号が必要です。(同一世帯の方であればあらかじめ聞いておくことで、代理で入力することができます)
※ その他の代理人の場合、即日で完了することはできません。
転居と合わせてしておきたい手続き
健康保険証の変更手続き
国民健康保険証には、住所が記載されています。市区町村役場の健康保険担当窓口で、転居後に手続きが必要です。
社会保険に加入されている場合は、職場にて住所を変更したことを届け出てください。
合わせて、お子さんの福祉医療に関する手続きも市区町村によっては必要になることがあります。
同種の手続きとして後期高齢者医療制度被保険者証があります。
転居者に中に対象者がいる場合は、持参するようにしてください。
不動産登記手続き
不動産をお持ちの方が住所を変更された場合、緊急性はありませんが不動産登記の所有者の住所を変更しておくことをおすすめします。
後に不動産を売却することになったとき、登記の情報を最新の情報に書き換えてからしか、売買の登記をすることはできません。
何度も住所を変更しているのに登記を変更していないと、住所の履歴を証明する書類を入手するのが困難になり、余計な手間を取ることがあります。
転居のよくある質問
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転居を取り消しすることはできる?
- 原則として取り消しすることはできません。
転居は事後の届出であり、内容に変更があることはあり得ないからです。
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マイナンバーカードを持っていくのを忘れた
- 転居の届出から14日以内に、同じ窓口でカード内容を変更する手続きをしてください。
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住所変更後の住民票は即日発行できる?
- 転居手続き完了後、すぐに新しい住所が記載された住民票を発行することができます。
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転居履歴を証明するにはどうすればよい?
- 同じ市町村内での住所の履歴は、「履歴入りの住民票」を取得すれば証明することができます。
市区町村をまたぐ住所の履歴を証明するには、本籍地で「戸籍附票」を取得してください。
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印鑑登録は住所変更しなければならない?
- 印鑑登録の住所変更手続きは必要ありません。
転居手続きが完了し、住民票の住所が変更されれば、印鑑登録に関する情報の更新も完了します。
住民票と同じく、転居後すぐに印鑑証明書を発行することができます。
詳しくは「印鑑登録引っ越し手続き解説」を参考にしてください。
-
転居したら住民税住民税はどうなる?
- 手続きは不要です。
同一市区町村内での異動であり、課税状況に変化はありません。
住所の変更についても税務担当で把握しています。
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児童手当の手続きは必要?
- 住民税と同じく手続きは不要です。