これからやってくる寒い冬、何かとイベントも多く着物を着る機会の多い人もいるのではないでしょうか。
でも冬の寒さをどうやって乗り越えたらいいのか、着物ならではの対策方法がないか、気になっている人もいるのではないでしょうか。
寒い冬でも着物を着ておでかけしたいと考えているあなたに、おすすめの対策方法について紹介します。
冬の着物は寒いの?
冬に着物を着る機会があると、やっぱり気になるのが「寒くないのかな?」ではないでしょうか。
冬でもきれいに着物を着こなしている人の姿を見ると、素敵だなと憧れてしまいますよね。
実のところ、着物は見た目以上に冬の寒さを感じると思います。
というのも着物には「身八つ口」と呼ばれる場所があります。
着物の脇の部分を見てもらうとわかるのですが、縫い合わせずに開いたままの状態になっています。
身八つ口は女性と子供の着物にだけあるもので、江戸時代に流行った幾重にも巻いていた着物だと、上腕部の自由が奪われてしまうのを防ぐために、手足の動作を自由にするための工夫です。
見えない襟のような役割をしており、体型や着物の素材によってずれてしまうのを防ぎ、カバーする目的もあります。
この身八つ口から風が入ることによって、和装のほうが洋装よりも寒く感じる人が多いようです。
また、着物は足元が冷えやすいので、冬の寒さをより実感する人もいます。
寒さの感じ方は、人それぞれ違いますが冬に着物を着るときは、しっかりと寒さ対策をするのが懸命です。
ちなみに人間は、「首」「手首」「足首」「腰首」が冷えやすく、風邪をひきやすくなるといわれています。
この部位は整脈が皮膚の近くを通っていることもあり、暖めてあげることで血液の循環が促されるようになります。
その結果、血の巡りが良くなり体が暖まります。
なかでも一番注意しなくてはいけないのが、首や腰首です。
着物に関しては帯を巻く分お腹周辺の防寒対策はしっかりとできていますので、首を冷やさないように気をつけましょう。
着物の寒さ対策に使える5つのアイテム
寒い冬を乗り切るためにも、どんな寒さ対策があるのでしょうか。
冬でもおしゃれに着物を着こなすためにできる、対策方法について紹介していきます。
1.ヒートテックなどのインナー
最も簡単にできる方法として保温吸湿性の高いインナーを着物のなかに着込むのをおすすめします。
インナーを選ぶときは、着物の襟や袖口から見えてしまわないか?または見えても恥ずかしくないものかを考えるようにしてください。
着物の構造として後ろ襟を抜いて着るため、首の後ろが詰まっている状態だと、インナーが見えてしまうことがあります。
肘が隠れるか隠れないかぐらいの長さのものだと、着物にも影響を与えずにきれいに着こなせます。
特に冠婚葬祭で着物を着るときにインナーが見えてしまうと、一気にカジュアルな印象になります。
和装インナーもありますし、Vネックのものを選ぶなどの工夫をしましょう。
また、インナーの色も長襦袢と合わせておくと安心です。
薄手で着ぶくれしないものを選ぶようにしてくださいね。
インナーの注意点として、今流行りのヒートテックを使って防寒対策をする場合、静電気に注意しましょう。
裾除けとレギンスの組み合わせで静電気が起き、着物の裾が張り付いてしまうこともあります。
特に冬場は乾燥しているので、素材の組み合わせによっては静電気が原因で歩きにくさを感じることもあります。
素材が違う者同士だと静電気が起こりやすくなるので、静電気よけスプレーなどを使いしっかりと対策しておくようにしてくださいね。
2.レギンスやスパッツ
着物の足元の冷えは、中にレギンスやスパッツを履いて解消しましょう。
足袋を履いて草履で歩くときにタイツは使えません。
レギンスやスパッツなどの足先が出るタイプのほうが向いています。
シンプルなデザインのものや、色味を着物に合わせておくと見えてしまったときにも安心です。
どんなに気をつけていても裾がめくれたときなどに見えてしまうこともあります。
レギンスの素材や厚さなども考慮したうえで、着やすく着ぶくれしないものを選んでください。
足元の冷えは足袋を裏起毛やフリース素材のものに変えるだけでも、多少改善されます。
寒い冬に草履を履いて歩くのは思っている以上に冷えるので、冬用の足元対策を忘れずに行いましょう。
3.ロンググローブ
着物は袖口が大きく開いているので、風通りがよく冬の寒さが伝わりやすくなります。
そのため手元は想像以上に冷えるので、着物を着ておでかけするときは、ロンググローブをつけて防寒対策をするのをおすすめします。
革を使ったロンググローブはレトロ感もありつつ高級感を演出できます。
ウール素材のロンググローブにすると、全体的にもカジュアルな印象になりますし、手元は印象を決める重要な場所だからこそ、お好みにあったデザインを選ぶようにしてくださいね。
冬の寒さ対策でついつい忘れてしまいがちな場所になりますので、手元の対策もしっかりと行うようにしてください。
4.マフラー
着物は首元も冷えやすい構造になります。
そのため、大きめのマフラーを首元に巻くだけでも暖かくなります。
他にも、ゴージャス感はありますが、着物にファーをあわせて防寒対策を行う方法もあります。
ファーは女性ならではのおしゃれですし、見た目もかわいくなりますね。
着物や羽織などの全体のバランスを見るのを忘れないようにしてください。
また、大判のストールを羽織ると着物の印象がガラリと変わりますので、飽きずにコーディネートが楽しめます。
こだわった帯が隠れてしまうことがなくなるので、冬でもおしゃれにこだわりたい人に向いています。
ただしストールだけで冬を越えるのは寒いのでおすすめしません。
特に1月・2月と気温が下がってくると着物でのお出かけがより厳しくなります。
他の防寒対策もしたうえで、ストールを羽織るなどの対策をするのをおすすめします。
5.イヤーマフラー
着物を着るときは、髪を結い上げることもあり耳が出ている状態になります。
真冬などは耳たぶから熱が奪われてしまうので、イヤーカフを使って温める方法もあります。
見た目のかわいさもありますし、比較的カジュアルに使えるアイテムを探している人におすすめです。
イヤーマフラーはシンプルなデザインのものを選んでおくと、着物の柄を邪魔せずに使えるので使い勝手もよく便利です。
寒いときはインナーなど防寒アイテムをいかに使いこなすかも重要です。
ただし、あまりに合わせすぎると着ぶくれすることもありますし、着付けがしづらくなってしまうこともあります。
着物の防寒対策は過度にならない程度に行うようにしてくださいね。
コートや羽織も上手に活用しよう
冬の寒さ対策として着物の上にコートや羽織を使う方法もあります。
実際に街のなかをみると着物専用のコートや羽織を合わせて、おしゃれに着こなしている女性も見かけます。
レンタルで着物を借りた時など、どんなアウターを選べばいいのか、選ぶ時のポイントについても紹介します。
道行コート
着物の外出用のコートになります。
特徴は首元が四角になっていることです。
まるで額のような仕立てになっているのも特徴です。
- 袷:布が二重に縫われている
- 単衣:一枚の布からできている
1月・2月などの本格的に冷える時期は、防寒対策にすぐれた「袷」のコートを選ぶほうが懸命です。
道行コートは外出用になりますので、室内に入ったあとは脱ぐのがマナーです。
外套
本格的な和装のコートといえば外套です。
オーバーコートなどと呼ばれることもあり、着物の一番外側に着用します。
着物の着付けや帯を崩さずに着用できることもあり、ゆったりとした作りになっています。
着脱時に着物に影響してしまう心配もありません。
お尻まですっぽりカバーしてくれる丈感なので、着物だけでなく着こなせるシンプルなデザインが特徴です。
冬でもしっかりと暖かい分、厚みがあるので少しかさばることもあります。
室内に行ったら脱ぎ、バックなどにしまえるように準備しておくとスマートです。
レトロな雰囲気のあるコートになるので、冬の着物の装いにおすすめです。
ポンチョやケープ
気軽に着用できるアウターとして、かぶるだけのポンチョやケープもおすすめです。
自由に着られる良さもありますし、重ね着などの工夫で暖かくできるので調整しやすい特徴もあります。
また、コートなどと比較すると少し脇の部分がスースーして風が抜ける感じはありますが、使いやすさを考えると持っていて損はありません。
普段着でも使えるので着物を着る機会の少ない人や、レンタルで借りたときに使うアウターとしてもおすすめです。
また、レンタル着物のときに腰回りの防寒対策として、貼るカイロを使っている人もいます。
ただし、肌に近く直接触れることもあるカイロは低温やけどの可能性もあります。
着崩れしてしまうと途中で取り除くことができないので、貼らないタイプで手持ちのカイロを使うのが良いでしょう。
まとめ
寒い冬でも着物を楽しむためには、しっかりと防寒対策をしておきましょう。
普段から着物を着る機会が少ない人にとっては、冬専用のアイテムを揃えるのもなかなか難しいかもしれません。
ときには身近なアイテムで代用できることもありますし、何を合わせるかによって印象も変わります。
また、レンタルなどを検討しても良いかもしれません。
冬でも寒さに負けずにおしゃれに着物を着こなすために、インナーを工夫したり、アウターの種類の選び方によっても印象が変わります。
着物は全体のコーディネートが重要ですので、バランスを考えつつ楽しんでみてくださいね!