着物はクリーニングに出すべき?保管トラブルの種類と対処法

着物保管トラブルの対処法

せっかくの着物も、正しく保管できているかどうかによって長持ちするかどうかが決まってしまいます。

洋服と違い「着物や帯をどのように保管したらいいのかわからない」と思っている方も多いのではないでしょうか。

着物を着た後にクリーニングに出すべきなのか?また、室内ではどのように保管したらいいのなど「着物のメンテナンス」についてわかりやすく解説していきたいと思います。

着物はクリーニングに出すべきタイミングは?

着物を着たあとに、クリーニングに出すべきか迷う人もいるのではないでしょうか。
なかには出そうと思いつつも後回しになっているなんて人もいると思います。

そもそも着物をどの程度の頻度で着ているのかによって、クリーニングに出すべき頻度やタイミングは変わってきます。

例えば、ワンシーズンのうちに数回は同じ着物を着てお出かけするなど使う頻度が多い人の場合、毎回クリーニングに出していたら手間も料金も大変です。
メンテナンスにも維持費がかかりすぎてしまいます。

着物に目立つ汚れや汗ジミがついているならそのままにするのはおすすめしませんが、着物として特に問題がないのであればシーズンを終えてしまう前に1度クリーニングに出す程度で構いません。

着る機会の少ない礼装用の着物だったり冠婚葬祭のフォーマル向けの着物などは着るたびにクリーニングに出すのをおすすめします。

これらの礼服用の着物になると、着る機会が少ないと数年以上自宅にしまっておくようになってしまいます。

着物には目には見えない汚れがついていて、少しずつ変質する原因になってしまいます。

たった1回しか着ていないからメンテナンスしなくても大丈夫なんて考えていると、着物のトラブルの原因になってしまう可能性があります。

シーズン中についた皮脂汚れやほこりなどを綺麗に落として、また来年も着られるようにしておきましょう。

着物の保管に起こりがちなトラブルはどんなものがあるの?

着物を保管している間にどんなトラブルが起こる可能性があるのか、具体的なトラブル事例についてご紹介していきたいと思います。

トラブルに合わせた対策方法も一緒に紹介していきますので、着物の保管方法に迷っている人は参考にしてくださいね。

虫食いの原因と対処法

着物に残っている微細な汚れや食べかす、皮脂汚れが原因になり虫食いが発生します。

着物の主な素材は絹を使っているので虫に好まれやすい特徴もあります。
ヒメマルカツオブシムシなどの幼虫が繊維を食べて穴を開けてしまいます。

虫は湿気が多い環境も好きなので、きちんと対策をしていないとあっという間に穴だらけになってしまいます。

虫食いの程度がひどいと着物としては使えなくなってしまうのでしっかり防虫対策をしましょう。

虫食いの被害を防ぐ予防法

着物を収納する前にしっかりと汚れを落とすことが大切です。

ソースなどの食べ残しがあると虫のターゲットになってしまいますので、汚れたときは早く拭き取るようにします。
また、収納する場所に湿気を持ち込まないことも重要ですので、2日ほど風通しのいい場所に干して着物の湿気を飛ばします。

空気が乾燥して天気の良い日に収納する為にも、湿気が残ったままにならないように注意してくださいね。収納時に防虫剤も一緒に入れて虫食いをしっかりと予防しましょう。

カビの原因と対処法

白カビや青カビなど、着物を長期間保管していたらカビが生えてしまったと話す人は少なくありません。

着物についている汗汚れや皮脂が主な原因となりカビが発生します。
他にも、着物の生地に含まれている「地糊」もカビの原因になることがあります。

特に白カビは初期の段階は白く目立ちにくくて気づかない人も多く、黄色に変色してから慌てて対策をする人が多いようです。

変色してしまうとクリーニングに出しても落とすのは難しくなり、着物を全部解いて洗仕立て直す手順が必要になります。

カビが出はじめてから10年以上が経過するとカビの色が茶色や黒に変色していきます。
ここまでカビが侵食してしまうと、着物のもとの状態に戻せなくなります。

生地にも大きなダメージを受けている状態ですので、きれいにしても着物として使えるとは限りません。

カビが着物の染料を変色させてしまったり、カビ独特の匂いが取れなくなってしまいます。
カビ特有の匂いは自宅で洗濯した程度では取れないことも多く、着物の奥深くまで染み込んでしまいます。

もし生地の変色まで進んでしまっている場合は、色補正を行わなくてはいけません。

カビははっきりと目に見える場所だけではなく、着物全体にカビが生えてしまっていることもあります。

カビの被害を防ぐ予防法

着物カビを防ぐ為には、できるだけ通気性の良い収納ケースに着物をしまうのがポイントです。

桐たんすや底の浅いプラスチックの収納ケースに保管するのも最適です。
できるだけ湿気が発生しにくい場所で保管しつつ、定期的に引き出しを開けるなど風を通す工夫をします。

着物を保管している部屋全体や収納ケースの両方の除湿を心がけるための防湿剤も準備しておきます。

大切な着物を保管していただけでこんなにボロボロになってしまうとは、誰も思っていないのではないでしょうか。

なかには形見でいただいた着物など思い入れのある品かもしれませんよね。
もう着られない状態になっていた…なんてトラブルを避ける為にも、着る頻度が少ない着物は収納前のクリーニングは必須です。

ひと手間かけるかどうかで着物の寿命が大きく変わりますので、しっかりと対策をしてくださいね。

着物で汚れやすい場所を覚えておこう

先ほどお伝えしたとおり、着物に汚れがついたまま保管すると、カビや虫食いなどの被害にあう可能性が非常に高いです。

そのため、着物を着たあとは専用のハンガーに吊るした状態で汚れを確認しておくと良いでしょう。

着物の汚れやすい場所

  • 襟部分:化粧汚れ
  • 裾部分:泥はね汚れ
  • 背中や脇部分:汗ジミ汚れ

着物に使われている絹は、体温によって伸び縮みするように出来ています。
そのためハンガーにかけることで縮んでいた生地を伸ばしてくれます。

着物用のハンガーのほうが負担をかけずに伸ばせるのできれいに保管するうえでも持っていると便利です。

次にハンガーにかけたまま1日以上陰干しします。
太陽の光に当ててしまうと色落ちの原因になりますので必ず陰干しを行うようにしてください。

着物だけでなく長襦袢や帯も同じ用にハンガーにかけて干ししっかりと湿気を取り除きます。

その後乾いた柔らかいタオルやブラシを使い優しく全体の汚れを取り除きます。
チリやホコリなどの汚れがそのまま付着している状態だと、虫食いの被害に合う可能性が高くなります。

専用のブラシなども売っていますので、適度な力で優しく行うようにしてくださいね。

着物で汚れやすいのは主に、襟部分のファンデーションによる汚れや、裾部分の泥はね、背中や脇部分の汗ジミです。

汗ジミは乾くと見た目にはわかりにくくなり、クリーニングは必要ないのでは?と判断してしまいがちです。

汗汚れは通常のクリーニングでは取り除けず、汗抜きを依頼しないと取りきれません。
特に夏場に着物を着用したあとや屋外にいる時間が長く、歩きでの移動が多いときなど汗の汚れがついてしまいます。

緊張して汗をかいたときなども、汗ジミができる原因になっているかもしれません。

どんなに気をつけていたとしても肌が直接触れる部分なのもあり、知らず知らずのうちに汚れてしまいます。

他にも雨が降ったときの雨染みも確認しておくのを忘れないようにしてくださいね。肩や背中、裾などに雨染みが出やすくなります。

また汚れではないのですが帯を締めている胴回りは傷やほつれなどが起こりやすく、全体の穴開きがないかも確認するようにしてくださいね。

着物は柄がしっかりと入っているものが多いので、食べ物や飲み物のシミがあってもパッと見だけではわかりにくくなります。

汚れていないと思っていても、着物に染み込んでいる可能性もあるのを忘れないで下さい。

着物ならではの構造だからこそ汚れる部分もありますし、洋服のように簡単に丸洗いしてお手入れできるわけではありません。
そのため、汚れていると疑ってメンテナンスを行うのをおすすめします。

着物と一緒に長襦袢のメンテナンスも忘れずに

着物のメンテナンスについて説明してきましたが、肌着として使う長襦袢も一緒にメンテナンスが必要になります。

着物以上に肌に直越触れる部分になりますので、皮脂汚れや汗汚れがつきやすい場所でもあります。

たくさん汗をかいたときなどクリーニングに出してさっぱりしたいと考える人もいると思います。
ただクリーニングに出したからといって長襦袢がきれいになるわけではありません。

丸洗いでは汚れが落としきれていないこともあるので、特に汚れやすい「襟部分」と「袖部分」の両方を念入りに洗うように伝えておくと良いでしょう。
一言伝えておくだけでも汚れをしっかりと落としてくれるので安心です。

半襟を外して自宅で洗濯機を使って洗う方法もありますが、素材によっては向かないこともあります。

長襦袢のなかでも特に気を使うのは正絹素材のものだと思います。傷みやすく駄目になりやすいので手洗いで洗っていきます。
素材がわからないものは手洗いが無難です。

ただしアイロンがけに慣れていない人など、長襦袢を傷めてしまうこともあるのでクリーニングに出したほうが懸命です。

まとめ

  1. 汚れを落としてから保管すること
  2. 着用後はしっかりと乾燥させてから保管する
  3. 長期保管の場合は、時々乾燥されること

上記3点が基本的な着物の保管トラブルの予防方法になります。
その他、着物ならではのメンテナンス方法がありますので、まずはどんな手順で行えばいいのかを把握しましょう。

そのうえでどの部分に汚れがつきやすいのか、着物に負担をかけずに取り除くためにできることを考えていきましょう。

着物は決して安いものではありませんし、思い出の品なんてこともあると思います。
大切な着物を長期間保存するためにも、正しいメンテナンスでカビや虫食い、湿気などから着物を守ってくださいね。

着物はメンテナンスも含めて重要なのを忘れないでくださいね。




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